自治医科大学との協働事業「ともしび塾」を再開しました
ヘルスプロモーション研究センターでは、自治医科大学公衆衛生学部門などと協働して、大学のカリキュラムだけでは学びが十分ではないと考えられる予防医学について、①自己管理、②患者支援、③地域の健康づくり、の3つの視点から学べる「ともしび塾」を2016年から開催しています。
この内容は、2020年8月に発表された日本学術会議の提言にも合致します。
2020、2021年度は、コロナ禍の影響により開催を見合わせていましたが、今年度は5月28日(土)に1年生を対象とした食育ワークショップ、6月2日(木)に3年生を対象とした喫煙・飲酒ワークショップをそれぞれ再開することができました。
食育ワークショップは、例年「3・1・2弁当箱法」を用いて実際の料理を弁当箱に詰め、自分自身の1食の適量を把握する体験型の学習を行いますが、今年は感染対策の観点から講義・演習形式に内容を変更して実施しました。
まず中村センター長(医師)が食事と疾病の関連や、食生活改善の2つのアプロ―チ法として教育と環境整備に関する講義を行い、次に管理栄養士の川畑が食事バランスガイドを用いて、学生食堂やコンビニ弁当等を活用してバランスの良い食事を整える方法についての演習を行いました。最後に、当日測定した自分自身の尿中Na/K比を用い、前日の食事記録と照らして、食塩やカリウムが多く含まれる食事や食品の取り方がどうだったかを振り返る演習を行いました。
喫煙・飲酒ワークショップは、中村センター長が担当し、講義と動画視聴を用いた禁煙支援の演習を行いました。喫煙に関する講義では、エビデンスに基づき、最近流行している加熱式たばこも含め、喫煙や受動喫煙による健康影響を解説するとともに、たばこの健康被害を減らすために医師ができる3つの役割について話をしました。
禁煙支援の演習では、医師によるカウンセリングの「問題のある例」と「成功例」の動画を視聴しながら、望ましい禁煙支援について考えました。学生からは一方的で指示的な指導例と、患者の気持ちを受け止めながら支援を行う例を比較し、「支援で重要なのは、患者に寄りそう心だとわかった」などの意見が述べられました。
飲酒に関する講義では、アルコールの健康影響について、飲酒量とがんや高血圧、脳卒中などのリスクとの関連、アルコールとアルデヒドの代謝酵素の遺伝子多型による病気のリスクの個人差、適正飲酒の基準などについて臨床研究や疫学研究のデータを示しながら解説しました。飲酒は学生にとっても身近なテーマで「飲酒の危険性について改めて認識できた。」「お酒は一層注意を払って適度に楽しみたい」等の感想が寄せられました。
この「ともしび塾」が、自身の生活習慣の振り返りや、将来医師として患者さんへの生活習慣改善支援に役立つことを期待しています。
本ワークショップの資料は、下記より閲覧いただけます。
食育ワークショップ
https://healthprom.jadecom.or.jp/wp-content/uploads/2022/06/syokuikukougi20220528.pdf
喫煙飲酒ワークショップ
https://healthprom.jadecom.or.jp/wp-content/uploads/2022/06/tabaco_alcohol202206.pdf