医学生3年生を対象に喫煙・飲酒ワークショップを開催
自治医科大学の3年生を対象に「喫煙・飲酒ワークショップ」を行いました。このワークショップは2016年から自治医科大学との協働事業として開講している「ともしび塾」の一環として実施したもので、これまで1年生を対象に「食」をテーマに実施し、今回新たに3年生を対象に「喫煙・」飲酒」をとりあげ、2019年6月13日に疫学実習の一部として実施しました。
講師はヘルプロの中村センター長が担当し、喫煙と飲酒をテーマにそれぞれ講義と演習を組み合わせた学習を行いました。
飲酒に関する講義では、アルコールの健康影響について,飲酒量とがんや高血圧,脳梗塞など生活習慣病のリスクとの関連、適正飲酒の基準の男女差や飲酒量について疫学研究のデータを示しながら解説しました.また、アルコール代謝酵素の遺伝子多型のタイプにより、飲酒の反応や病気のリスクに特徴があることから、演習では、簡易にスクリーニングする体験として、「簡易フラッシング質問紙法」とアルコール試験パッチを用いて実際に自分自身がどのタイプに該当するかを確認しました。
喫煙に関する講義では、エビデンスに基づき、喫煙や受動喫煙による健康影響について解説するとともに、2018年7月に設立した改正健康増進法や、最近流行している加熱式たばこについてもふれ、国際的にみた日本の取り組みの現状を紹介し、たばこの健康被害を減らすために医師ができる役割を伝えました。
演習では、医師によるカウンセリングの動画を視聴しながら、望ましい禁煙支援について考えました。問題のある支援の動画の視聴した学生からは、一方的で指示的な医師の態度を問題視し、喫煙している理由や生活環境を確認すること、患者が実践できそうな禁煙方法を提示すると良いのでは、などの意見があがりました。実際のカウンセリングの様子を知ることで、禁煙支援について具体的にイメージでき、理解が深まったようでした。
学習後のアンケートでは,「飲酒と喫煙の健康影響だけでなく、医師の立場からどのような支援をしたらよいかまでわかり良かった」など,将来医師として患者の行動変容を支援する立場でのポジティブな意見や感想が多く記載されていました。
このワークショップを受講した3年生は1年生時に「ともしび塾」の食育ワークショップを受講しており、これらの学習機会の提供が、学生自身の生活習慣の振り返りや、将来医師として、患者への生活習慣改善の支援に役立つことを期待しています。