禁煙支援・治療の指導者養成プログラム(J-STOPネクスト)に関する学会発表を行いました

2024年7月に開催された第32回日本健康教育学会学術大会（長野県）において、当ヘルスプロモーション研究センターの中村正和センター長が、「禁煙支援・治療の指導者養成のためのWEB学習プログラムの開発（J-STOP ネクスト）」の演題発表を行いました。その内容をもとに、J-STOPネクストのこれまでの歩みと内容についてご紹介します。

※J-STOPネクストは、ヘルスプロモーション研究センターが日本禁煙推進医師歯科医師連盟と協働して開発・普及を行っている、WEB学習教材を用いた禁煙支援・治療のための指導者養成プログラムです。

J-STOP事業の歩み

日本禁煙推進医師歯科医師連盟は、2010年から禁煙支援・治療のための指導者トレーニングの開発・普及プロジェクトであるJ-STOP（Japan Smoking Cessation Training Outreach Project）を実施してきました。本事業は、指導者トレーニングを通じて、わが国の医療や健診等の場における禁煙支援ならびに禁煙外来における禁煙治療について、その量的な拡大と質の向上を図ることを目的としています。2015年からは公益社団法人地域医療振興協会との共同開催の形で実施しています。2010年に、eラーニング形式の自己学習教材（J-STOP）を開発し、毎年3～4ヵ月の期間限定で実施しました。2022年からは、WEB学習教材に切り替え、内容を全面的に更新してJ-STOPネクストとして公開しています。

2008年〜

日本禁煙促進医師歯科医師連盟のプロジェクトとして、eラーニングによる指導者トレーニング（J-STOP）の開発に着手
J-STOP：Japan Smoking Cessation Training Outeach Project

2010年〜

eラーニングの開講（毎年3〜4ヶ月の期間限定、参加費無料）
（禁煙治療コースは2010年から、禁煙治療導入コース、禁煙支援コースは2011年から）

2014年〜

第３階厚生労働省スマートライフプロジェクトアワード受賞（健康局長優良賞）

2015年〜

地域医療振興協会との共同事業として実施

2017年〜

使い勝手と有効性を評価した論文の発表（日本健康教育学会誌.2017.25（3））

2022年〜

WEB学習教材（J-STOPネクスト）への切り替え（2022年8月20日）

2023年〜

第12回厚生労働省スマートライフプロジェクトアワード受賞（健康・生活衛生局長優良賞）

J-STOPネクストの学習内容

学習コースとして、禁煙外来での禁煙治療の方法を学ぶ「禁煙治療コース」、日常診療の場での短時間禁煙支援を学ぶ「禁煙治療導入コース」、健診等の保健事業の場での禁煙支援を学ぶ「禁煙支援コース」の3種類を設定しています。

	禁煙治療コース	煙治療導入コース	禁煙支援コース
用途	禁煙治療コース	禁煙治療導入コース	禁煙支援コース
学習内容	ニコチン依存症管理料にもどづく禁煙治療	日常診療、薬局・薬店	地域や職域の保健事業の場
対象	医療やコメディカル	短時間でできる喫煙の動機づけや情報提供	地域や職域の保健指導者
学習時間（目安）	13〜15時間	医療やコメディカル、薬局・薬店の薬剤師	7〜 8時間
備考	4学会*「禁煙治療のための標準手順書」に準拠	6〜7時間	厚生労働省「禁煙支援マニュアル（第二版）」に準拠

3種類のコースは、いずれも導入編、知識編、トピック学習、実践編の4部構成です。導入編では、日常診療や保健事業の場での禁煙支援などに関する講義動画を視聴します。続いて、知識編では、たばこの健康影響や禁煙の効果、ニコチン依存症などの知識をテキストや動画を用いて学習します。トピック学習では、加熱式たばこ使用者への対応やICTを活用した禁煙治療などの新しいテーマや、特定の喫煙者（精神疾患、妊婦、青少年）に対する治療方法について学習します。

実践編では、喫煙者へのカウンセリングや症例検討、Ｑ＆Ａ演習をコンピュータ上で仮想体験しながら学習し、禁煙の動機付けや禁煙治療に役立つ知識やスキル、問題解決カウンセリングの知識やスキルを習得します。

このプログラムは、４学会による禁煙治療の公的な手順書や厚生労働省の禁煙支援マニュアルに準拠した実用性の高い内容を、自分のペースでインタラクティブに学習することが可能です。さらに、学習後のアセスメントテストや修了認定テストにより、理解度を自己チェックすることができ、修了認定テストの合格者には、修了認定証が発行されます。