2025年2月26日に、ヘルスプロモーション研究センター主催のオンラインセミナー「医療の場におけるフレイル対策-マルチモビディティ患者におけるフレイル予防と管理-」を開催しました。

本セミナーは、高齢化や疾病構造の変化により増加するマルチモビディティ患者におけるフレイル問題を取り上げ、その対応の実際について学ぶことを目的に開催しました。講師として、地域医療振興協会都祁診療所管理者の西村正大先生と東京都健康長寿医療センター循環器内科部長の石川讓治先生、総括には国家公務員共済組合連合会虎の門病院顧問の大内尉義先生お迎えしました。座長は当センターの中村正和センター長と西村正大先生が務めました。
まず中村正和センター長から話題提供として、マルチモビディティとフレイルの相互の関連性や予後への影響についての最近の知見を紹介いただきました。

次に、西村正大先生より、一般の診療所の日常診療におけるフレイル患者への対応の実際についてご講演いただきました。都祁診療所での実践を踏まえて、フレイル予防や対策を日常診療に取り入れるための3つのステップをご提案いただきました。今後、通いの場など地域の健康リソースと診療所をつなげることで、フレイル予防の三本柱である栄養・運動・社会にも介入していけるのではないかと述べられました。

続いて、石川讓治先生より、フレイル・サルコペニアのリスクが高い高齢心不全患者に対して、病院において多職種が連携して取組んでいるフレイル・サルコペニア対策の実際についてご講演いただきました。高齢心不全疾患患者の治療方針の決定におけるフレイル評価の重要性、多職種ネットワークによるポリファーマシー対策や運動・栄養指導の実際についてご紹介いただきました。
講演後は、事前に参加者から集めて質問に答えていただく形でディスカッションを行い、最後に総括として大内尉義先生より「フレイル外来に診療点数がつかないという課題があるが、フレイル対策に取り組んでいる医療機関から、臓器別疾患の予後の改善や健康寿命の延伸のエビデンスが集めて、老年医学会を中心に診療加算を実現したいと考えている。今日の事例を通して、診療所や急性期病院でもいろいろな工夫をすることで、フレイル対策に取り組むことができると感じました。」と締めくくられました。
当日の講義動画は、下記よりご覧いただけます。ぜひご視聴ください。

講義資料
講義資料
・話題提供 マルチモビディティとフレイルの関連に関する文献的考察
地域医療振興協会 ヘルスプロモーション研究センター センター長 中村正和先生
・講演① プライマリ・ケア診療所におけるフレイル患者への対応の実際
【講師】地域医療振興協会 都祁診療所 管理者 西村正大先生
・講演② マルチモビディティを有する循環器フレイル患者への対応の実際
【講師】東京都健康長寿医療センター 循環器内科部長 石川讓治先生