ヘルプロセミナー「医療の場におけるフレイル予防」を開催しました
2024年2月21日に、ヘルスプロモーション研究センター主催のオンラインセミナー「医療の場におけるフレイル予防-超高齢社会に求められる医療機関の役割-」を開催しました。本セミナーは、高齢化が急速に進行する中で、フレイル対策における医療機関の役割について、先進的な取組事例を通して学ぶことを目的として開催しました。講師として、医療法人社団 野村医院 院長の野村和至先生と国家公務員共済組合連合会虎の門病院 顧問の大内尉義先生をお迎えしました。当センターの中村正和センター長と地域医療振興協会 都祁診療所 管理者の西村正大先生が座長を務めました。
はじめに、野村和至先生より、2018年の診療報酬改定をきっかけに高齢者をトータルに支えることを目的に開設された「地域包括診療外来」の概要を紹介いただくとともに、CGA(高齢者総合的機能評価)を活用した高齢患者へのフレイル予防の実際についてご講演いただきました。その中でオンライン診療による居宅CGAの取組が紹介され、高齢者の居住環境を含めて生活背景の把握に役立つことが述べられました。これらのクリニックでのご経験をふまえ、地域医療が取り組むべき高齢期ウェルビーイングのサポートとして、CGAの逆発想として、1.体づくり(定期的な頭と体の健康年齢健診)2.心づくり(趣味や同じ境遇の友人)3.生きがいづくり(尊厳・自己効力感)の必要性を挙げ、フレイルは、つながるための一つの鍵(テーマ)となる」と締めくくられました。
続いて、大内尉義先生より、超高齢社会に求められる病院の役割として、病院における高齢者の総合診療体制の構築と地域住民の健康長寿を支える仕組みづくりについて、虎の門病院と鹿児島共済会南風病院での取組の実際をご講演いただきました。
虎の門病院では高齢者総合診療部が設置され、入院患者に対するフレイル対策、認知症対策、ポリファーマシー対策がチーム医療として行われていることについて紹介いただきました。南風病院では高齢者・健康長寿医療センターを開設して、高齢者の総合診療やフレイル・ロコモ外来にとどまらず、自治体や医師会などと連携して地域住民を対象としたフレイル・ロコモ対策を行っていることをご紹介いただきました。今後は、自治体住民の健康度の変化を示すエビデンスの構築が必要と、締めくくられました。
講演後は、事前に参加者から集めた質問に答えていただく形でディスカッションを行い、最後に総括として、地域医療振興協会副理事長の山田隆司先生より「かかりつけ医として長く患者さんとの信頼関係を培いながら丁寧に、総合的に見ていくという姿勢が大切。地域の人に信頼され、地域の人たちが障害や疾病を持っても最後まで生きがいを持って生きられるということを医療者として支えていく。本日の講義はまさにその視点そのものであり、大変勇気づけられました」と締めくくられました。
当日の講義動画は、下記よりご覧いただけます。ぜひご視聴ください。
https://www.youtube.com/watch?v=RHdUNFYHXpE
======= 講義資料、講師紹介、参考資料 ====================================
1.講義資料
講師:医療法人社団 野村医院 院長 野村和至先生
講師: 国家公務員共済組合連合会虎の門病院 顧問 大内尉義先生
2.講師紹介
3.関連資料
(1)野村先生 取材記事
・老年医学を駆使し、高齢者をトータルに⽀える「地域包括診療外来」を開設
・外来メインのクリニックがスムーズに在宅医療を推進させる⽅法
・「老年医学や生活習慣病にも使える」コロナ禍で見えたオンライン診療の可能性
(2)大内先生 論文・対談
・ 老年医学の進歩と社会実装. 日本老年医学会雑誌 2022年59巻4号
・ 南風病院 高齢者健康長寿医療センター 広報紙Vol1(特別対談 大内尉義先生)
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